【意外】「第19回ショパン国際ピアノ・コンクール」間もなく開幕!ヨーロッパでの注目度は??

こんにちは!
オーストリアからピアニストのえりょんです😊

今日は間もなく開幕を控え、大変注目されている

ショパン国際ピアノ・コンクール

についてお話してみたいと思います。

ショパン国際ピアノ・コンクール

ショパンの心臓が眠る
ポーランド・ワルシャワの教会の柱

数年前旅行でポーランドを訪ねた際、
ショパンの心臓が眠る教会にも足を運びました。

初めての感覚で、その時のことは
大変印象的なものとして記憶に深く刻まれています。

このポーランドが生んだ偉人ー
ショパンの曲のみを課題曲とし、
五年に一度行われるショパン国際ピアノ・コンクール。

第19回の日程は、
2025年10月2日から23日まで。

写真の地、ワルシャワで開催されます。

すでに世界各国のピアニストを対象とした
予備予選が4月23日~5月4日に行われ、
そこを突破した精鋭たちが
本大会での演奏を控えています。

予選同様、本大会もYouTubeで
ライヴ配信されます。
時差の問題こそあれ、世界のどこにいても
ライブで聴くことが出来ます。
このこともあり、
開幕を控え日本でも大変盛り上がっていますね。

オーストリアでの反応

さて、そんなショパン国際ピアノ・コンクールですが、

私が住むヨーロッパ、
オーストリアでの反応はいかがでしょう。

少しびっくりするかもしれませんが、

・・・

実は、ほとんど盛り上がりを感じられません。

・・・

びっくりしませんか?

日本では出場者を熱く応援するファンの存在や、
会期スケジュールのまとめをシェアする流れなど、
とくにこの催しを意識していなくても
それらをよくSNSで目にします。

クラシック音楽雑誌での特集や、
業界第一人者さん方のコラムやエッセイ
などなど、
メディアでも多数取り上げられ
大変人気のトピックであることも伺えます。

なのでこの違いにもし驚いたとしても、
とくに不思議はないと思います。
というよりそもそも私が、
オーストリアに来てビックリした事でした。

【理由1】出場者におけるアジア国籍の割合

では、それはなぜでしょう?

考えられる理由はいくつかありますが、
まず一つ大きな点が。

このコンクール、実は
出場者の約60%がアジア国籍なのです。
現時点での最新情報では、
本大会予選出場者84名中、50名がアジア人です。
※出典は以下
ショパン国際ピアノコンクール公式ウェブサイト

アジア系までここに含めると、
人数はもっと増えるでしょう。

数字よりお顔写真をご覧いただく方が、
感覚的に捉えやすいかもしれません。

以下、当記事作成9月25日時点での
本大会予選 全出場予定者です。
敬意を込めて皆さん、
優勝候補とさせていただきます✨

このように、
出場者にアジア人が多い傾向は
1990年代以降に顕著になり、
2000年代以降加速した
流れということで、

※出典は以下2サイト
ウィキペデア
ショパン国際ピアノコンクール公式ウェブサイト

とくに中国の出場者の多さが顕著です。
母数が違うのだろうなというのが窺えます。

ヨーロッパではこのコンクールを
『ショパン・アジアコンクール』と、
揶揄(?)する声さえちらほら。

ちなみに今回オーストリアからは0名、
ドイツからは1名のようです。

ヨーロッパにおいて、
クラシック音楽人口の減少傾向が
みてとれる一面のように感じます。

【理由2】演奏形態・課題曲の特殊さ

もう一つ考えられる理由は、
課題曲が本選まで全て、
ショパンの曲のみ
といった
特殊さにあるのではと踏んでいます。

一般的な国際コンクールでは、
優勝するまでのラウンドで
様々な作曲家の作品を演奏します。
演奏形態もソロ、伴奏、室内楽、協奏曲など
多岐にわたります。
そもそもコンテスタントの部門が
歌や弦楽器など、ピアノの他にある場合も。
有名なところですと
チャイコフスキー国際コンクールがそうですね。

ショパン国際ピアノコンクールのように
たった一人の作曲家のソロ作品のみで
ファイナルまで勝ち進む

このような国際コンクールは珍しい訳です。

※最終ラウンド=ファイナルは
・幻想ポロネーズOp.61
・ピアノ協奏曲第1番Op.11またはピアノ協奏曲第2番Op.21
 と、協奏曲が入ります。

だからこそ、このコンクールが
ある種特別だという見方もあるでしょう。

ショパンコンクールは特別なのか

ウィーンやリンツ、ザルツブルク他
オーストリア国内各所のみならず、
ドイツやイタリア、ギリシャ、チェコなど、
ヨーロッパ各地のクラシックコンサートに
足を運び、
素晴らしい音楽にふれる中、
ふとプログラムの
彼らのプロフィール欄に目を落とすと、

“リーズ国際ピアノコンクール”
“エリザベート国際音楽コンクール”
“ブゾーニ国際ピアノコンクール”
“国際フランツリストピアノコンクール”
“ARD国際音楽コンクール”
このようなコンクールの受賞歴を記している
ピアニストさんをお見掛けします。
勿論これらはほんの一例で、
他にも多くのコンクールの存在を目にします。

そしてこれらの一つとして、
ショパン国際ピアノコンクールも存在する。

“埋もれている”までは行かないけれど、
そんなイメージです。

何が申したいか、

それはショパン国際コンクールだけが
とりわけ特別視されている訳ではなく、
あくまで
“その他数多くあるコンクールの内の一つ”
として対等に位置しているという肌感です。

日本とヨーロッパの違い

これはヨーロッパにおける
演奏家のキャリア形成の中身や、
聴衆のあり方にも端を発しているものと
私は考えます。

その一つが、演奏者の経歴の捉え方。

日本では、クラシックの演奏会において
演奏者の技量を
出身大学名、受賞歴、
師事歴、海外での学びの有無・・・

このようなもので推察したり判断する傾向が、
少なからずあるように思います。

留学したのか
コンクール受賞歴はどうなのか

ここが結構大きなウェイトを占めているのかなと
傾向として感じます。

なので演奏家の皆さんはこぞって
これらを書き連ねた
長い長~いプロフィールをお客様にご覧いただく、
そのような演奏会をしばしばお見かけします。
(私の演奏会プログラムもそうでした)

ところがヨーロッパでは、
勿論それもありますが、
それより
誰に影響を受けて
どのようなことを学んで来たのか、

これまで演奏で何をしてきて、
これからどんな事が予定されているのか

彼(彼女)が大切にしていて、
次に目指すものは何なのか
など、
このような事が
箇条書きではない文章で”
ストーリーのように書かれている

そんなプログラムをよく目にする気がいたします。

その文頭は「Biography」(ビオグラフィー)。
正にその言葉の通り、
「伝記」にように書かれているんです。

またヨーロッパにおいては、
優勝後の“キャリア支援”
マネジメント、コンサートツアー、
録音、プロモーションの充実や、
放送、配信力などメディアに強い大会など、
プロモーターやレーベルが注目しやすい大会
これらは日本も同じかもしれませんが、

中でも
ヨーロッパ圏での活躍が約束される
コンクールが注目されやすい

そのような自然な背景もあるのでしょう。

ヨーロッパにはショパンの他にも
素晴らしい作曲家が沢山いて、
一人の作曲家に偏らず幅広く演奏ができる
☑ピアノソロだけでなく室内楽や伴奏他、
 総合的演奏スキルを示せるコンクールが選ばれる

こんな要素も重要視されているかもしれません。

なのでショパコンだけが特別注目されるといった
ある種特殊な空気感というのは、
今回韓国、中国他にはふれませんがきっと
アジア圏特有のものなのでしょう。

またここに書きたいけど書きにくい
関係者事情などにも、
渡欧以来度々ふれて参りました。
(シェアしたいけど出来ず大変心苦しい…
生徒さんにはお話できるかもしれません。
もしこの記事を見て気になる生徒さんは
遠慮なく訊いてくださいね。)

そんな中、私はここオーストリアで
「ショパコンは日本や他アジアの国ほど
 注目されている訳ではないのかぁ…」
と、感じるようになった訳です。

何はともあれ今回も楽しみ!

とはいえ私も、さかのぼれば大学時代からでしょうか。
このコンクール開催の度、時差で眠い中、
日本でストリーミング配信をよく聴いて来ました。
学生時代、当時の配信は音声のみで、
今のように動画もなく回線も不安定。
そんな中、途切れ途切れの音楽でも
食らい付いて聴いていたっけ・・・
ブレハッチやユンディ・リの時代です。

そんな訳で今回、
ポーランドと時差のない
オーストリアで聴けるのはノーストレス。
大変ありがたいです😊

どなたが優勝者になるのか・・・
ドキドキしながら演奏と結果を楽しみにしています。

コンクールの日程や、
審査員のお顔ぶれなどの詳細は以下、
公式ホームページからご確認ください。
【ショパン国際ピアノコンクール公式HP】
https://chopincompetition.pl/en
(本記事内の情報は全てこちらを参照しました)

今はブラウザの翻訳機能が充実しているので、
海外のウェブサイトも日本語で見られて
とっても便利ですね!

以上、ざっとですが書かせていただきました。

それでは今日はこの辺りで。

最後までお読みいただき
誠にありがとうございました💗

今日もよい音楽を🍀