【ピアノ練習で手が痛い原因・解決法】故障克服ピアニストが指〜手首〜腕と部分別に 解説。初心者も必見😉

こんにちは☀️
オーストリア在住ピアニストのえりょんです。

本日はもしかしたら
ちょっと身構えてしまうお話?!

ピアノ弾きさんの

「手の故障」がテーマです。

皆さんは、ピアノを弾いていて

手が痛くなったこと

おありですか?

一言で「手」と言っても、

指・手のひら・手首・肘…と
パーツ毎に分けられるのではありますが、

普段レッスンをしていると
生徒さんからこんなお話がよくあります。

「指の関節が痛い時があります」

「最近手首が痛くなります」

「腕に疲労感があるんですよね」

はたまた

「肩が凝るんです〜」

などなど。

今日はこんなお悩みについて、
原因や対処法などを
詳しくお話して行きたいと思います。

少し長く細かい内容ですので、
先ずは興味ある部分から読んでいただき、
あとはブックマークでもしていただいて
少しずつ読んでいただくとよいかもしれません。

では早速。

ピアノを弾いて手が痛くなる(故障の)4つの原因

なぜ、ピアノを弾いていて手が痛くなるのか?
痛みでなくても疲れや、違和感を覚えるのは
どのようなことが原因なのでしょう?

本日は、主に考えうる4つの原因を
以下、ご紹介いたします。

筋肉の同時収縮

腕や手は筋肉によって動かされています。

筋肉は収縮するときにだけ、力を発揮します。
そして個々の筋肉はある一つの方向にしか、
力を発揮できません。

ピアノを弾く時のように
手を二つ以上の方向に動かすためには
二つ以上の筋肉・筋肉群が必要で、
そのうち一つをある方向へ、
もう一つを別の方向へ動かさなければなりません。

そして、ある筋肉が収縮するとき、
その反対側にある筋肉は
ゆるんで伸びなければならず、
これは関節の回転のため。
どちらも収縮した状態だと動きが制約され、
故障を引き起こす原因になります。

これが筋肉の「同時収縮」です。

簡単にまとめると、

ピアノを弾くときに必要となる筋肉を、
それら全て、どれも緊張させている状態

と説明できるかと思います。

不自由なポジション

お次は腱のお話をしましょう。

筋肉は腱によって骨に付いています。
その腱はいくつかの関節をまたいでいるのですが、

この腱の動きは骨の位置によって変わります。

特に手のように、
腱が複数の関節をまたぐような部位では、
関節が不自由なポジションを取ると
腱にストレスがかかり、

動きにくく、力もなくなって行きます。

極端な話、
手首が前腕と一直線上になる位置にあれば、
力学的に指は最も効率よく動けるということ。

骨(関節)の不自由なポジションは、
痛みや故障を引き起こす原因となります。

筋肉が収縮して動かない状態での働き

基本的に筋肉が力を発揮するとき
その筋肉は収縮し、
その部位が動くにつれて
その筋肉は短くなっていきます。

なのでその部位が反対方向に動くときに
筋肉はゆるみ、長くなっていきます。

つまり筋肉は、
交互に短くなったり長くなったりするという事。

しかし、
筋肉がこの長さを変えずに力を発揮する
状態 ー 筋肉を動かさず行う運動は、
筋肉にとって大きなストレスとなります。

先述の「筋肉の同時収縮」が、
時間を掛けて継続的に行われる状態です。

こうなると血流を滞らせ、筋肉疲労を起こし、
故障に繋がりやすくなります。

必要以上の力による打鍵

「力」が、
これまでお話した筋肉や腱などに
どの程度かかるかによって、
受けるストレスは変わります。

当然ですが、力が大きい程、
筋肉や腱にかかるストレスも大きくなります。

いくつかの研究によるところでは、
力が2倍になれば、かかるストレスは2倍ではなく
何と5倍になる、ということです。

ピアノ演奏では、打鍵自体に必要な力は
それほど多く要りません。

私の生徒さんにも
常々申し上げている事ではありますが、
基本的に鍵盤の重さは50gほどです。

過剰な打鍵は、それだけで
痛みや故障に発展する危険が十分にあります。

ピアノを弾く人によくある3つの故障

腱鞘炎

腱鞘炎。手や腱の炎症ですが、
ピアノを弾く方の多くが経験する症状ですよね。

幸い私はこれまで発症した事がありませんが、
周りでも実によく耳にします。

一言で腱鞘炎と言っても
その呼び名・名称は様々で、

親指の腱に起こる炎症は「ドゲルバン病」
肘の外側の腱だと「テニス肘」「上側外上顆痛」
肘の内側の腱だと「ゴルフ肘」「内側外上顆痛」
腱鞘に異常が生じるものを「ガングリオン嚢胞」

などと分けられます。

それからこれも。

肩の腱の痛みも、腱鞘炎の一種だそうです。
腱鞘炎と聞くと私はどうしても
手の症状を思い浮かべがちで、
なるほどと思った記憶があります。

これは回旋筋腱板という、
肩甲骨から上腕骨に付いている
筋肉群や腱群に影響が出るものだそうで。

こういった症状はすべて、
ピアノを弾く人になら
誰にでも起こりうるものでしょう。

手根管症候群

手根管という部位、
皆さま聞いたことはおありでしょうか?
恥ずかしながら私は、手を痛める3年前まで
この言葉自体を知りませんでした。

手根管とは、手首にある
小さな骨と靭帯で作られた
狭い空間のことを言います。
空間の広さは、親指の先程しかありません。

この狭い空間の中に、
指を動かすための9本の靭帯、
腱鞘、手と指を支配する正中神経が
所狭しと通っています。

この手根管の狭さが、
痛みやすさの原因になりうるのです。

腱や腱鞘が炎症を起こして腫れると
正中神経を圧迫し、
手や手首が痛んだり、手が痺れたり、
手に力が入らず、
ぎこちない感じがする事もあります。

これが手根管症候群。

腱に無理なストレスがかかる運動により
起こることが分かっています。

ピアノを弾く人であれば例えば、

手首でのオクターヴ演奏。

手首を、その周りを固めながら使うことは
非常に危険と言われています。

ジストニア

ジストニアは、これまでご説明したような
腱鞘炎や、手根管症候群のような故障とは
まったく違う種類の症状です。

私個人的には、これだけはなりたくないなと、
そのために練習方法を改善する程、
ピアニストにとっては恐い症状…
と、こんな風に話すと余計恐くなりますね。

どんな病気なのでしょう。

ジストニアは、運動をコントロールするための
脳の許容量に問題が起こることにより、発症します。

筋肉が意思に反して収縮して固くなり、
不自然で痙攣したような動きをするようになります。

手や指が、脳からの指令に反応できなかったり、
思うように反応しなくなります。

痛みを伴う症状ではないものの、
これではピアノを弾く事は困難です。

ピアニストによく起こるものが、
体の一部分だけ、例えば指1本のように、
その部分だけコントロールが効かなくなる
「局所ジストニア」という種のもの。

局所ジストニアの原因は解明されておらず、
医学的な治療法も今はまだありません。

しかし医学的な治療はまだないかもしれませんが、
音楽家の局所ジストニアの症例で
成果を上げ続けている運動療法・治療法はあります。

ジストニアによって演奏家としてのキャリアを
絶たれてしまった著名な音楽家もいれば、

ジストニアから回復し、
演奏活動に復帰した音楽家も沢山います。

初心者さんにみられる不調と原因

故障に対処するためには
まず原因を知ること

先ほど述べた4つの原因に
お心当たりがないか、
振り返ってみてください。

とくに

初心者さんの手の痛み

については、
私のこれまでのレッスンの経験では

椅子の高さから座り方
鍵盤と体の距離
演奏時の姿勢や手のかたち(構え)

これらを改善した方がよい方や、
独特のクセがついてしまっている方。

あとは

ご自身のテクニックを
超える曲を弾く中で、
不調を訴えられる方が多いかな

といった印象です。

手指をピアノを弾くためのものに育てる
ピアノを弾くための手に鍛え上げる

ここを飛ばして、
これなしでは演奏がむずかしい曲に
取り組んでしまう

よって体や指に不要な力が入り、

筋肉の同時収縮とその継続的発生
不自由なポジションで腱へのストレス
が生まれてしまう

そんな方がいらっしゃるように思います。

もうひとつはやはり
練習のし過ぎ。

熱心な生徒さんに多い印象です。

この辺はとくに大人の方は、
ご自身の体力と相談しつつ、
練習スケジュールを組んでみてください😉

私が経験した故障と原因について

ここで、私自身が経験した故障について
お話したいと思います。

肘部管症候群

私が初めて手の「故障」というものを
経験したのは今から凡そ3年前。

それまではいくら練習しようと
疲労感を覚えることはあれど、
痛みやそれによる演奏時の困難などとは無縁でした。

寝て翌日には全快

一日中、激しい曲を引き続けていようが
そうでしたので、
これまでとくに気にせず生きて参りました。

が、30歳半ば、ある日突然
「手が痛くて 全く弾けない」
という症状を体験するのです。

整体や鍼灸、病院を転々とし、
ようやく自身も納得の診断が下りるのですが、

それが「肘部管症候群」でした。

ずっと腱鞘炎だと思っていたため、
これは意外な診断でした。

発症の主な原因は、

長時間の過度な練習

であったと認識しています。

当時練習していたプログラムは
2曲で1時間以上のもの。
また大きくない私の手には、
少々無理のあるパッセージが多い曲でした。

オクターブ幅の4和音がずっと続く
その上早く細かな動きもずっと続く

とにかく音が多くて終始忙しい

メンデルスゾーンの室内楽曲を2曲同時に
仕上げようとしていたときの事でした。

鬼のピアノパートと、恐れられるあの曲です。

当時、1日何時間練習していたかは、
あえて伏せておきますネ。
(練習は単純に時間の長さだけで
 計れるものでもありませんし😉)
そんなに練習してどれだけ上手くなったのかしら?と、
今思うと過度な練習時間だったと思います…

そんな風に、若い頃と同じように
弾いていてはいけないのだと、
この時初めて経験したのでありました。

3つの対処法

ここからは、
私が故障を経験してから実践している
3つの方法をご紹介します。

ご紹介と言える程のものではない位、
当たり前なことも多いですが…

少しでもご参考になりましたら幸いです。

違和感を覚えたら病院へ

何と言っても先ずはこれです。
その道のプロフェッショナルに診てもらいましょう。

しっかり診察していただける、
信頼できるお医者さんがベストですね。

音楽家のための専門治療を行う
クリニックは今、沢山あります。
ご自身の症状に応じて
是非、探されてみてくださいね。

炎症の場合は冷やすが先

そしてお家や練習場所で。

「沢山弾いて筋肉を使ったな〜」

こんな時は、まず冷やしましょう。

先に温めるのはNGですよ。

筋肉が炎症を起こしている=熱を持っている

この状態では、冷やすが○です。
練習後は、しっかりクールダウンしましょう。

しっかり冷やして筋肉を落ち着かせたら、
あとはお風呂に入った時にでも、
ゆるくマッサージでほぐしてあげましょう。

このマッサージも、
冷やす前には行わないようにしましょうね😉

故障する前に予防を

そしてやはり最も大切なのがこれ。

故障する前にどれだけ気づいて予防できるか。

気づけば私にも、故障の前兆はありました。

「寝て翌日にも腕の疲れが取れないな」

「激しい部分を弾き続けることが
 前ほど出来なくなったな」

「なんか関節に違和感があるかも」

こんな体からのサインを無視して
ガンガン弾き続けた結果、故障を引き起こしました。

一度起こした故障は、
完治までに長い時間を要することが
ほとんどと言われます。

体はちゃんとサインを出してくれます。
ある日突然…なんて、
ほとんど無いそうですね。耳が痛い…

しっかりキャッチして
予防して行きたいものですね。

おすすめのご紹介

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こちらの本、
一見 奏者を「ピアニスト」に
限定して書かれたかのような
タイトルですが、

自分のカラダをよく知り
普段から意識してつかう

ピアノ演奏時の体の使い方
故障の原因
また故障しないための演奏法

など、
イラストと写真で
一目でわかるよう書かれた、
ピアノ初心者さんにも大変読みやすい本です。

今日の記事作成にあたり、
参考にもさせていただきました。

私はピアノを始めた早いうちから、
このような本に出会いたかったです。
カラダは時とともに必ず消耗するので、
できるだけ早いうちから大切に使えることは、
ピアノを弾く上で必ず強みになると思うのです。

私はこの本のお陰で
脱力の本当の意味
分かったような気がしています。

いつも譜面台に置いて練習しましょう

この本にはそんな帯がついています。

練習ではついつい
「弾く」ことばかりに集中しがち。

譜面台に置いて
視界に入るようにしておくだけでも
だいぶ効果がありそうです。

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あとはこちら。

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国内外の有名コンクール受賞者を
多数輩出し、
50年以上にわたり
様々な手の問題に悩む
ピアノ学習者を指導された、

業界の著名人
御木本澄子先生
ご考案の

トレーニングボード。

オクターヴの練習
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懐かしい思い出です😊

作り方は超カンタン。
自分の手のカタチに合わせて、
ポッチをボードに付属ボンドで付けるだけ。

使い方(トレーニング方法)も
公式YouTubeチャンネルで丁寧に紹介されていて、
それを見ながらおうちで先生いらずでトレーニングが出来ます。

便利な時代になりました…(しみじみ)

皆さんのピアノライフが、
より充実のものとなりますように。

それでは今日もよい音楽を。
最後までお読みいただきありがとうございました☺️

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